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非アルコール性脂肪性肝疾患

非アルコール性脂肪性肝疾患

NAFLD/NASHはどんな病気? NAFLDには「NAFL」と「NASH」がある なぜNAFLD/NASHが問題視されているのか? NAFLD/NASHの診断は「肝線維化」と「心血管リスク」を評価することが重要 NAFLD/NASHの治療 経過観察(フォローアップ)の重要性 まとめ このような方はご相談ください 当院の考え方(院長より)

NAFLD/NASHはどんな病気?

NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)とは、お酒をほとんど飲まない人でも起きる脂肪肝のことです。

• 男性:エタノール換算 30g/日未満
• 女性:20g/日未満

これにもかかわらず、肝臓に脂肪が蓄積してしまう状態を指します。
日本では現在、2,000万人以上が脂肪肝に該当すると推定されており、
最も頻度の高い肝疾患とも言われています。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、
飲酒習慣がほとんどないにもかかわらず肝臓に脂肪がたまる病気です。

近年、

肥満

糖尿病

脂質異常症

高血圧

といった生活習慣病を背景に、NAFLDの患者さんは急増しています。

当院でも、健診で「脂肪肝」を指摘され受診される方が非常に多くいらっしゃいます。

NAFLDには「NAFL」と「NASH」がある

NAFLDは、肝臓の状態(病理学的特徴)によって2つに分類されます

NAFL(非アルコール性脂肪肝)

• 肝臓に脂肪が溜まった状態(5%以上)。
• 以前は「単純性脂肪肝」と呼ばれ、進行しにくいことが多い。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)

• 脂肪沈着に加えて炎症と肝細胞の障害(風船様変性)がある状態。
• 進行すると 肝硬変 → 肝細胞癌 のリスクが上昇するため要注意。

NAFLからNASHへ移行する例もあるため、
症状がなくても定期評価が重要です。

なぜNAFLD/NASHが問題視されているのか?

肥満・生活習慣の変化で急増

国内の検診データでは、
2001年:18% → 2009〜2010年:29.7% へ増加。
横浜市でもメタボ関連疾患の増加とともに、脂肪肝患者が増えています。

最も重要な予後因子は「肝線維化」

NAFLD/NASHの経過を大きく左右するのは、

脂肪の量ではなく「肝臓の硬さ=線維化」です。

線維化ステージが進むほど、
• 死亡率
• 肝臓病による死亡
• 心筋梗塞や脳梗塞

の発症率が上昇することが研究で示されています。

NAFLD/NASHの診断は「肝線維化」と「心血管リスク」を評価することが重要

当院ではガイドラインに基づき

肝線維化の進展リスクと

心血管疾患リスクの二つの側面から評価します。

当院で行うNAFLD/NASHの評価方法

肝線維化リスクの評価(一次スクリーニング)
日常の血液検査から、肝臓の線維化を推定できる指標があります。
• FIB-4 index(フィブフォー)
• NAFLD fibrosis score(NFS)
• 血小板数(20万/mm³未満で線維化を疑う)

これらの数値が
• FIB-4 index ≥ 2.67
• NFS ≥ 0.675
の場合は、より専門的な評価が必要となります。

専門医での二次スクリーニング
線維化進展の疑いがある場合、
肝臓専門医で以下の検査が検討されます。

● 肝生検
NASH診断の“確定検査”。
他疾患との鑑別にも有用。

● エラストグラフィ(VCTE/MRE)
肝臓の硬さを“非侵襲的に”数値化できる検査です。
線維化の程度がより正確に評価できます。

心血管リスクの評価も重要

NAFLDの最大の死因は「心血管疾患」とされています。

以下に該当する場合、ハイリスク群として慎重な評価が必要です。

• 心電図異常
• 心筋梗塞・脳卒中の既往
• 糖尿病・高血圧・脂質異常症を併発
• FIB-4 index ≥ 2.67

必要に応じて精密検査(心臓エコー、頸動脈エコーなど)を検討いたします。

NAFLD/NASHの治療

現時点で、NAFLD/NASHを直接改善させる特効薬はありません。 治療の中心は以下の2つです。

1. 生活習慣改善(最も重要)

体重減少は肝機能改善に強く関連します。

● 体重減少と期待される効果
体重減少率 期待できる改善
5%以上 生活の質(QOL)の改善
7%以上 炎症改善、NASH活動性改善
10%以上 肝線維化の改善

● 食事療法
摂取カロリーの適正化が最重要。
炭水化物・脂質比率より「総カロリー」が鍵。

● 運動療法
有酸素運動+レジスタンス運動の併用が推奨。
週250分以上の中〜高強度運動が効果的とされています。

2. 基礎疾患の治療薬

糖尿病・高血圧・脂質異常症への治療が
肝機能や肝組織像の改善につながる場合があります。

• ピオグリタゾン (糖尿の薬)
• SGLT2阻害薬 (糖尿の薬)
• GLP-1アナログ薬 (糖尿の薬)
• ビタミンE(日本で保険適用なし)
• スタチン (コレステロールを下げる薬)
• ACE阻害薬/ARB (血圧を下げる薬)

※効果や適応は個別の診断に基づき判断します。

経過観察(フォローアップ)の重要性

NAFLD/NASHは進行度に個人差があり、
線維化の程度と代謝疾患の有無に応じた継続的フォローが必要です。

フォローの目安

• 低リスク:2年に1回の血液検査と線維化評価
• 中〜高リスク:1年に1回
• 肝硬変へ進行した場合:
超音波検査+腫瘍マーカー測定を 6ヶ月ごと に実施

また、NAFLDは肝臓以外の癌(大腸癌・乳癌など)とも関連するため、総合的な健康管理が大切です。

まとめ

NAFLD/NASHは単なる脂肪肝ではなく、全身の健康や寿命に深く影響する疾患です。

• 肝線維化の有無が予後に直結
• 心血管疾患リスクも上昇
• 生活習慣改善と基礎疾患治療が中心
• 定期的なフォローが不可欠

疑わしい症状や、検診の肝機能異常・脂肪肝を指摘された方は、
専門医へ早めの相談が重要です。

このような方はご相談ください

健診で脂肪肝や肝機能異常を指摘された

HbA1cや中性脂肪が高め

体重が年々増えている

糖尿病・高血圧・脂質異常症がある

脂肪肝と言われたまま、詳しい説明を受けていない

当院の考え方(院長より)

脂肪肝は、

「今すぐ困らない病気」かもしれません。

しかし私は、日々の診療の中で、脂肪肝を放置していた方が、数年後に心臓や血管の病気の原因だと思われる場面を見てきました。

金子内科では、目先の数値だけでなく、
将来の肝臓・心臓・血管まで見据えた内科診療を行っています。

健診異常を指摘された方も、
「これって放っておいていいのかな?」という段階から、
どうぞお気軽にご相談ください。

よくある質問

お酒をほとんど飲まないのに脂肪肝と言われました。なぜですか?
NAFLDは「アルコールとは無関係に起こる脂肪肝」です。

原因として多いのは、

食べ過ぎ・運動不足

体重増加

糖尿病・脂質異常症・高血圧
といった生活習慣・代謝異常です。
「お酒を飲まない=安心」ではなく、体質や生活習慣が大きく関係します。
脂肪肝があっても症状がありません。放っておいても大丈夫ですか?
初期のNAFLD/NASHは、ほとんど自覚症状がありません。
しかし、症状がないまま

肝線維化

肝硬変

肝がん

へ進行することがあります。
特に重要なのは「肝臓が硬くなってきていないか(線維化)」を定期的に評価することです。
脂肪肝に効く薬はありますか?
現在、NAFLD/NASHを直接治す特効薬はありません。ただし、

糖尿病

高血圧

脂質異常症

に対する治療薬が、結果的に肝臓の状態を改善することがあります。薬の選択は、肝臓だけでなく全身状態を考慮して個別に判断します。当院ではこれらの併存疾患の有無を考慮し、治療を判断いたします。

参考文献

https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/nafldnash2020_2_re.pdf


 


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