New ! 院長ブログ3【冬の健康管理】ヒートショックとは?原因・症状・予防をわかりやすく解説
2025.12.11
こんにちは、だいぶ冷え込んできましたね。
冬になると増える「入浴中の事故」。
その多くに関係しているのが ヒートショック(Heat Shock) と呼ばれる現象です。
暖かいリビングから寒い脱衣所・浴室へ移動した瞬間に血圧が大きく変動し、めまいや失神、心筋梗塞・脳卒中につながることがあります。
国内では、浴室での急死事故が年間数千件に上ると推定されており(出典:政府広報)、交通事故より多い年もあります。
今回は、ヒートショックの原因・症状・予防を内科・循環器内科の立場から解説します。
ヒートショックとは?
急激な温度差で血圧が大きく変動する現象
ヒートショックとは、急激な温度差により血圧が大きく上下することで起こる体調不良の総称です。
暖かい部屋から寒い場所に移動すると血管が収縮して血圧が上昇し、逆に熱い湯に浸かると血管が拡張して急に血圧が下がります。
この血圧の乱高下が、脳や心臓に負担をかけ、不整脈・心筋梗塞・脳梗塞のリスクを高めます。
なぜ冬にヒートショックが増えるのか?
理由① 室内と脱衣所の温度差が大きい
日本の住宅では、リビングだけ暖房が入り、脱衣所・浴室は冷えていることが多いのが特徴です。この温度差が最も大きくなるのが冬です。
理由② 年齢を重ねると血圧調整機能が低い
加齢とともに体温調節・血圧調整が鈍くなり、急激な温度差に弱くなります。
高血圧の方はさらに血圧の変動が大きくなりやすいため、注意が必要です。
理由③ 入浴習慣自体がリスクを上げる
熱いお風呂に長時間浸かる、日本特有の入浴習慣がヒートショックを助長するという指摘もあります。長風呂が好きな方は注意しましょう。
ヒートショックで起こりうる症状
ヒートショックは軽症から重症まで幅広く、次のような症状が起こります
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めまい・立ちくらみ
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動悸・息切れ
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顔面蒼白
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意識喪失
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不整脈
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心筋梗塞
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脳梗塞
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入浴中の転倒・溺水事故
特に 脱衣所で倒れる/浴槽で意識を失う といった事故が冬場は増えます。
ヒートショックを防ぐための対策
ヒートショックは「温度差」を小さくすることで予防できます。
① 脱衣所・浴室を暖める
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暖房器具(安全な電気式)を使用
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浴室暖房乾燥機があれば入浴前に稼働
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少し室温が上がるだけで血圧変動は大幅に減ります
② お湯の温度は40℃以下に設定
熱いお湯(42℃以上)は血管を急に拡張させ、血圧低下を招きます。
40℃以下で10〜15分程度の入浴が推奨されています。
③ 入浴前の飲酒は避ける
飲酒は血圧調整を乱し、意識障害や溺水事故の危険を高めます。
④ 食後すぐの入浴は避ける
食後は血圧が変動しやすく、入浴で負担が増えます。
⑤ 高血圧・不整脈の方は特に注意
循環器疾患がある方は血圧変動が大きいため、入浴前後の体調チェックが重要です。
冬は入浴事故が急増する時期です。
高血圧や息切れ、動悸がある方は早めの受診をおすすめします。
まとめ
ヒートショックは冬に多い「急激な血圧変動」によって起こる現象で、
めまい・失神・心筋梗塞・脳卒中・溺水事故など命に関わることもあります。
温度差を減らすことが最大の予防。
脱衣所や浴室を暖める、熱すぎるお湯を避ける、飲酒後に入浴しないなど、
ちょっとした工夫で事故は大幅に減らせます。
ご不安がある方、高血圧や心臓病の既往がある方は、ご相談ください。