どんな時、息切れになる?
「最近、歩くと疲れやすい」
「夜、横になると息苦しい」
「これまでは休まずに登れた階段が、途中で休まないといけなくなった」
このような症状があれば、当院までご相談ください。
息切れの原因は?
息切れをひきおこす原因としては大きく以下の3つがあります。
-
貧血
・鉄分不足
・消化管出血
・ビタミン不足など -
心臓の病気
・心不全
・弁膜症
・狭心症
・心筋梗塞
・不整脈
・心肥大など -
肺の病気
・喘息
・気胸
・肺炎
・肺腫瘍
・COPD
・肺繊維症など
もちろん、運動不足や体重の増加によることもあるかもしれません。
ただし、息切れの原因を安易に運動不足と決めつけてしまうと、治療可能な疾患を見落としてしまうこともあります。息切れの原因が運動不足や体重の増加と診断するのは基本的に、臓器の疾患がないことを確認してたどりつくものです(これを除外診断といいます。)
どのような診察、検査をするの?
当院では以下のように診察をすすめさせていただきます。
✔︎ 病歴を確認(いつから、どの程度の息切れ、息切れが悪くなる要因、喫煙歴など)
✔︎ 眼瞼をみて貧血がないか
✔︎ 肺と心臓の聴診
✔︎ 足がむくんでいないか
✔︎ パルスオキシメーター(爪につける小さな機械)で、体内の酸素の値をチェック
上記の病歴や診察をもとに、下記の検査から必要なものだけを行います。
- 血液検査
貧血やBNP(心臓の負担が高まると上昇するタンパク)を中心に確認します。
- 胸部エックス線
肺野の異常や心臓の拡大、肺に水がたまっていないかなどを主に確認します。
- 心電図
脈の乱れや心臓の筋肉が分厚くなっていないか、また酸素不足になっていないかなどを確認します。
- ホルター心電図
これは24時間つける心電図です。通常の心電図で不整脈が確認できた場合、施行します。
- 心臓エコー検査
心臓の動きが低下していないか、また心臓の弁が悪くなっており、血液が逆流していないかを確認します。
- 呼吸機能検査
肺活量は1秒にどれだけ息を吐けるかなどを検査します。
病歴と検査結果をもとに最も考えられる診断をお伝えし、治療が必要であれば、治療方針についてお話しさせていただきます。
お気軽にご相談ください。
よくある質問
- 放っておいても大丈夫な息切れと、危険な息切れの違いは?
- ①放っておいても大丈夫なことが多い息切れ(生理的な息切れ)
✔︎急な運動をしたあと(階段を駆け上がった、重い荷物を持ったなど)
✔︎暑い日や湿度が高い日に動いたとき
✔︎一時的なストレス・緊張で息苦しく感じたとき
✔︎一過性の風邪や鼻づまりによる呼吸のしづらさ
➡ こうした息切れは「休めばおさまる」「数分で呼吸が整う」ことが特徴です。体力や気候、体調による一時的なものが多く、安静で改善する息切れであれば、心配は少ないと言えます。
②危険な病気が隠れている可能性がある息切れ
次のような息切れは、放置すると悪化する可能性があります。
✔︎少しの動作でも息が上がる(以前は平気だった階段・坂道で苦しい)
✔︎冷や汗を伴う息切れ
✔︎横になると息苦しい/夜中に息苦しくて目が覚める
✔︎息切れと一緒に胸の痛み・圧迫感がある
✔︎脈が乱れる、動悸が強い、めまいを感じる
✔︎足や顔のむくみ、体重の増加、顔がある
✔︎熱も風邪症状もないのに息苦しさが続く
✔︎話をしていても息が上がる、息が吸いづらい感じがする
➡ こうした場合は、心臓(心不全・不整脈・心筋梗塞など)や肺(肺炎・COPDなど)の病気が隠れていることがあります。
中でも「急に悪化した」「安静時も苦しい」「夜間に苦しい」という症状は、緊急受診が必要な息切れの可能性があります。 - 息切れの治療はどう行うの?
- 息切れ(呼吸が苦しい、息が上がる)は、体からの大切なサインです。
「年のせい」「体力のせい」と思いがちですが、実は心臓・肺・血液・生活習慣など、いろいろな原因が隠れていることがあります。
原因によって治療法は大きく異なりますので、順に分かりやすく解説します。
1. 心臓の病気が原因の息切れ(心不全・不整脈・心臓弁膜症・心筋梗塞・狭心症・心筋症など)
心臓の働きが弱ったり、脈が乱れたりすると、全身に血液をうまく送れず、肺に血液がたまり息苦しさが出ます。
「少し歩いただけで息が上がる」「横になると苦しい」「むくみがある」場合は、心不全や不整脈の可能性があります。
✔︎治療のポイント
むくみをとる薬(利尿薬)で肺や体の余分な水分を減らし、呼吸を楽にします。
心臓の働きを助ける薬(血圧や脈を整える薬)で負担を軽くします。
不整脈がある場合は、脈の乱れを整える治療(薬やペースメーカー)を行うこともあります。
当院では、心エコーやホルター心電図(24時間心電図)などで心臓の状態を詳しく確認し、最適な治療を行います。
2. 肺の病気が原因の息切れ(喘息・COPD・肺炎など)
肺や気管支に炎症が起こると、空気の通り道が狭くなり、呼吸が浅くなります。
「咳や痰が長引く」「タバコを吸っている」「坂道で息苦しい」という方は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息が隠れていることもあります。
✔︎治療のポイント
吸入薬(気管支を広げたり、炎症を抑える薬)で呼吸を改善。
喫煙している方は禁煙も効果的です。
感染症がある場合は抗菌薬(抗生物質)を必要な量と期間、使用します。
息切れとともに咳・痰・ゼーゼー音が続く場合は、肺の病気を早期に見つけることが大切です。
3. 貧血による息切れ(鉄不足など)
血液中の「酸素を運ぶ成分(ヘモグロビン)」が減ると、全身が酸欠状態になり息切れが出ます。特に女性や高齢者では、鉄欠乏性貧血が多く見られます。
✔︎治療のポイント
鉄剤の内服や点滴で鉄分を補います。
食事療法(赤身肉・レバー・ほうれん草など)で貧血を改善することも効果的です。
胃や腸の出血が原因の場合は、内視鏡などで出血部位を確認し、必要な処置や内服で治療します。
4. 体力低下や生活習慣が原因の息切れ
心臓や肺に異常がなくても、運動不足・肥満・ストレス・睡眠不足などが続くと、息切れを感じやすくなります。
✔︎治療のポイント
軽い運動(ウォーキング・ストレッチ)で体力を少しずつ回復。
食事改善・減塩・体重管理で負担を減らす。
睡眠とストレス管理も息切れ改善には重要です。
5. 睡眠時無呼吸症候群が原因の息切れ
寝ている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、息切れや昼間のだるさ、集中力の低下にもつながります。
また、放置すると高血圧・不整脈・心不全を引き起こすことがあります。
✔︎治療のポイント
睡眠検査で呼吸が止まっていないかを確認します。
重症の場合は、CPAP(シーパップ)療法というマスク型の装置で治療します。
体重減少や寝る姿勢の工夫も効果的です。